着物を買ったはいいけど、コーディネートのやり方が分からない!そんな方に向けて、着物コーデの考え方について書いていこうと思います。
洋服のような流行もなければコーデついてのSNSもほぼない。情報が少なすぎて何が正解なのかわかんないよー!という着物初心者の方へ。分かります。私も同じ悩みを抱えていました。そんな試行錯誤することに疲れた方や、これから着物を始めるにあたって情報収集をしたい方へ、着物生活歴3年の元ファッション狂いだった私から、着物コーデの簡単なコツについてお伝えしていきます。
これを読めば、コーデで外すことはなくなります。出先のガラスに映った自分を見て「あれ?なんか変じゃない?」なんて不安に襲われることはなくなります。自信を持ってお出掛けを楽しめるようになるはずです。どうぞお付き合いください。
結論としまして、ファッションは自由で、ご自身が自信を持ってさえいればなんでもいいと思います。しかし私は、結局シンプルにまとめることをおすすめします。
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『着こなす』とは適切なサイズを身にまとうことから始まる
まず着物を選ぶときに大切なのはサイズ感です。洋服と同じですね。どれだけ上等なジャケットを着ていても、お父さんから借りたの?みたいにだぼだぼだったり、ラピュタの親方みたいにぱつぱつだったりしたら、高級ではあっても似合うとはいえませんよね。
着物はゆったりした生地量であるが故に洋服よりサイズに関してシビアではありません。身体にフィットすることを大切にする洋服文化ではなく、身体を包むことを目的としているからです。最近流行しているオーバーシルエットな服を選ぶくらいの感覚でいいと思います。具体的なサイズ感については過去に述べていますのでよければ併せてお読みください。
https://blue-kimono.com/start-to-wear-kimono/
着物のデザインは無味無臭が一番
わざわざ着物を着たいと思い、この記事まで着こなしについて調べに来る方であれば、身だしなみに気を遣う方とお見受けします。衣服に求める機能には、暖かさや清潔感、人に与える信頼感など様々ありますが、異性から好感を得られるなら欲しいと思う方が大半かと思います。私は滅茶苦茶意識しています。折角服を着るなら良く思われたいですよね。
先ほど述べたサイズ感も大切なのですが、私はいかにシンプルに着こなすかが好印象を得るうえで肝要だと思っています。ユニクロが大人気なのもその簡素なデザインが大きな理由でしょう。シンプルであれば不正解になりようがなく、ダサいと思われようがないのです。だって特徴がないんですもの。着回しのしやすさ、という点も手持ちの着物が少ない初心者さんやミニマリストさんにはうれしいところです。
では、着物のコーデにはどのような選択肢があり、どうやってシンプルにすることができるのでしょうか。
柄
皆さんは着物をどこで買おうと考えていらっしゃいますか?私は古着屋さんをおすすめしていますが、通販などでも探すことが出来ます。そうしていくと、ある問題にぶつかります。「変な柄が入った着物しかない!」ということです。縞模様や生地の織り方で表情を出したものはまだいいとして、ドラゴンの刺繍や縫い糸の色を変えて縫い目を主張したものなど、今は多彩なデザインの着物が選択肢に挙がってきます。シンプルな無地な着物ってなかなか見つからないのです。
冒頭で述べた通り、これらのデザインを否定するつもりはありません。あくまで私は選ばないし、初心者さんにおすすめしないという話です。ではなぜ無地の着物をおすすめするのか。それは、デザインの印象が洋服と比較して大きいからです。真っ赤なセーターは着れてもロングコートは躊躇しますよね。目に映る面積が大きいからです。しかし着物はそれ以上に面積の大きな衣服です。少しの味付けであっても大きな印象となり、コーデに影響を与えます。慣れないうちは、着物を着ているというだけで違和感を感じるし人目も気になるし。そんな時に少しでもデザインの入った着物を着ていると、「あれ、なんか派手じゃない?」と気になってしまうのが人情です。(私は縞柄とか好きなんですけど、初心者の頃は夏祭りに行ってきた人みたいで恥ずかしいと思ったことがあります)
ですので、皆様におかれましては、最初の着物はまるでユニクロやジルサンダーのようなシンプルな無地の着物を選ばれることをおすすめします。
色
衣服において色は重要ですよね。元気が出る色、落ち着いた印象を与える色、知的に見えたり色っぽく見せたり、まさに色々な使い方ができます。最近ではパーソナルカラー診断で自分に似合う色が客観的、科学的に分かるようになったり。ますますファッションが楽しくなってきたという感じがします。
着物に多い色では紺、茶、緑あたりで、最近は赤やパステルカラーなどを展開しているブランドも多くなりました。もし皆さんが普段の生活や街へのお出掛けに着物を着る予定でしたら、私はダークトーンをおすすめします。明るい色(明度が高い)では先ほどの柄と同じく主張がかなり強く出てしまうため目立ちます。そして、今の現状では明るい着物は笑点や成人式の印象も根強く、コーデに工夫をしないとご自身のなりたい雰囲気にしづらいと思います。
紺や黒であれば洋服のファッションの文脈でコーデしやすいですし、灰色のコンクリートジャングルにも色馴染みがよく悪目立ちはしません。ただでさえ珍しい男性の着物姿。わざわざ目立つ色を着なくても十分存在感は漂うのです。
ギミック
最近では着付けを簡単にするためにベルトがついていたり、デザインとしてフードやポケット、スリットが入った着物もあります。格好いいですよね。
しかし、初心者さんにはおすすめしません。一番の理由は「わざとらしさ」がいつか辛くなるからです。
これから着物を始めたい方がまず心配するのは目立つこと、他人の視線です。そんな時に、普通の着物を着ているだけなら「普段着ですがなにか?」と背筋をしゃんとして強くあれます。別にわざわざ気合いをいれて衣装を着ているわけではありません、と表明できるからです。しかしそこでギミックてんこ盛りのデザイン着物を着ていたら、きっと「すれ違う人が自分を見てる。きっと変だからだ。着物に着られてるんだ」って思っちゃいます。それは自分がわざわざその個性のあるデザインを選んだことを見咎められているように感じるからでしょう。自信があれば、大好きであれば問題のない他人の視線も、初心者には強すぎるのです。
別に他人の目を意識しろということではありません。誰もが不安を抱えやすい初心者の頃に、強い芯を持てば大丈夫なんて言えません。それは着物を大好きになってからでいいのです。皆さんが、不安や心配することなく楽しく着物でお出掛けできたら私は嬉しいのです。
神は細部に宿る
これは建築家の言葉ですが、もちろんファッションにも当てはまります。小物も含めて自分だけの世界感、自分だけの雰囲気を作ることができたらどれだけ素敵でしょう。
着物には洋服に負けず劣らずたくさんの小物があります。半襟、帯、羽織紐、足袋、草履。さらに人によってはサングラスや帽子、イヤリングなども装備するでしょう。しかしここまで読んでくださっている方々は私がなにを言うかもうお判りですね。小物は最低限、そしてシンプルで十分格好いいです。料理と同じで、調味料を使いすぎると味の輪郭がぼやけてしまいます。
洋服と一緒で、着物もカラーコーディネートで言えば色数は絞った方が洗練されて見えます。ワントーンでまとめるのが好きな私は小物も着物と同系色、足元は黒でまとめることが多いです。しかし、色を差すのがだめということではありません。着物姿全体から見れば、これらの小物はほんの少しのエッセンスに留まるため、ご自身の好きな色を使ってもらえればいいと思います。
しかし、自由にやるのが一番難しいのも事実。おすすめなのは、着物と同じ色を選ぶ又は小物の色を統一することです。
一見すると金色の帯ですが、青の糸も織り込まれているため紺の着物と馴染みます。羽織紐も着物と同系色。まとまりやすいコーデ。
もう一つだけ初心者の皆さんにお伝えしたいことがあります。変なギミックの小物は最初はやめておいてください。数珠のブレスレットや大きなカラーストーンで出来た羽織紐、缶バッジを着物につける、ぼろぼろのスニーカーを合わせるなどなどetc…。
なんどもお伝えしますがファッションは自由です。でも皆さん、洋服でお洒落しようとするときに数珠着けますか?羽根のついたハット被りますか?確かに着物は洋服以上に自由な衣服だと思います。しかし、しかしです。それはあなたの美意識を如実に表すもの。神は細部に宿る。皆さんが素敵な神様に巡り合えますように。
個性は滲み出るもの ものに頼らない
先ほどの小物の話の続きですが、個性を出したくてアクセサリーに拘る人は多いです。それも最初は、手持ちのものでなんとかしようとして、先ほど述べたようなスタイルになってしまう方もいます。学生時代の私のように・・・。スタイルが確立された方の拘りある装飾はその人らしさ、つまり個性があって、とても素敵で憧れます。しかし、そもそも個性とはなんでしょか?
それは着ている服や装飾ではなく、立ち居振る舞いや言葉であり、それは考え方つまり内面から表出されます。「誰もが特別で自由だ」とエレンも言ってました。そもそも着物を着たいと思う時点で少数派、それもこんなニッチなブログを読んでらっしゃる皆様はもう十分個性的です。身にまとう衣服はシンプルに。そうすることで、あなた自身が強調されて、『着物を着ている人』ではなく『着物を着こなしている人』になれるのです。
結び
結論としまして、無地で落ち着いた色の着物を同系色の小物とシンプルに合わせて普通に着る。これが着物を着こなす近道だと考えます。
癖のある着物が溢れた現代で、急いでそれを手に取ることはありません。じっくり着物を楽しんで、そろそろ他のものも欲しいとなったら派手なものを検討してみましょう。
皆さんが素敵な着物生活を歩まれますように。
終わり