男性着物の適切な身丈

初めての着物

着物の裾ってどのくらいの長さが正解なの?

着物を着始めた時、こんな疑問を持ちました。ネットで探しても曖昧な情報がいくつかあるのみで、参考になる着物男子の実際のコーデを血眼になって探したりもしました。きっと、同じ悩みをお持ちの方が、今お読みになっていることと思います。

そこで今回は、着物生活歴4年の経験をもとに、着物の裾の長さ、つまり身丈についてお話していきます。

自分の着姿が許容範囲内なのか分からない着るうえでの目安を知りたい古着屋で買う時にチェックするポイントを知りたい、という方の参考になるかと思います。是非お付き合いください。

着物をこれから揃えていきたい方は、こちらからどうぞ。

結論、ルールはないので、自分の美意識に従って大丈夫です。

マイサイズより1.5㎝長い身丈の着物コーデ

※広告が入っています。読みづらい箇所があるかもしれません・・・。

身丈が合ってないと不便

ネットには様々な情報が飛び交っています。東京は江戸っ子な短めの着丈で、足首が見えるくらいが粋だとか、関西では長めで足の甲に触れるくらい、などなど。全部気にしなくて大丈夫です。いや本当に。今や北海道から沖縄まで、着物男子の着姿は地域ではなく個人によって差別化されている時代です。

しかし、なんでもいいわけではありません。長すぎると地面に裾がついて汚れたり、階段を上る時に裾を踏んで転びそうになることも。短すぎれば冬は寒い。それにすね毛の生えた足がむき出しになるので、紳士を目指す方にはおすすめしません。

女性はおはしょりという、布を幅広い帯の下に折りたたんで収納するという方法で、身丈の調整を毎回着付けの度に行っています。これは手間でしょうが、裾の長さを自分でコントロールできるということでもあります。一方我々男性の着付けはシンプルに帯一本で締めるだけ。ミニマルな着方である以上、着物の身丈=裾の長さ、天候と同じくコントロールできないのです。

なので、快適かつ自分の好きな着物姿で過ごすためには、着物の裾が地面からどの程度浮いているが、自分にとって一番なのか知る必要があります。

身丈の目安

初めて着物を着るんだからどの程度って言われても分からんわー

ですよね。よく言われているのは、『身丈=自分の身長―27㎝』で、痩せ型の人はもう数㎝短めふくよかな方は逆に長めにするといい、というもの。お腹の張り具合で布量が多くいるかどうかということですね。

見た目の目安に関しては、短いとくるぶしが見えるくらい長いとくるぶしが完全に隠れるくらい、といったところ。くるぶしが目安になるでしょう。短いとしゅっとして見えますし、長いと上品に見えます。

ちなみに、163㎝でくびれができるほど痩せ型の私は、くるぶしを完全に隠す長めが好きで、身丈137㎝がマイサイズです。目安でいくと163―27=身丈136㎝で、痩せ型なんだからさらに短くするはずの身丈がなぜ長いのでしょうか。「見栄をはって痩せ型って言ってるけど本当はビール腹なんじゃないの?」とお疑いの方もいらっしゃるでしょう。簡単にご説明しますと、私は身丈長めが好きで、また足長効果を出すために通常より高いウエスト位置で帯を締めているのです。なのでくびれ部分に布を取られ、太っているのとは逆の理由で身丈に長さが必要になるのです。

本当に太ってないんだからねっ!


そのため、一概に身丈の目安を断言することはできません。体格や好み、そして生地の性格によっても、裾と地面の間の距離は変化してしまう。だから身丈に関する分かりやすい情報は見つけられず、私のような迷える子羊を量産する結果になっているのです。

試着で確かめる方法

目安がないのにどうすれば・・・。とお悩みの子羊なあなたへ。

試着しましょう

帯を締めて着なくても、肩に羽織るだけでも大丈夫です。


では、仮にこの着姿、この裾の長さで着物を着たいとしましょう。

かなり長めで、くるぶしが完全に隠れています。これ以上長いと地面に擦ってしまうので、この着物の例を参考にすれば長すぎる着物は選ばなくなるでしょう。

 


古着屋さんで実際に着物を羽織ったら、鏡で真横を見てみましょう。

↑これは本当にただ羽織っただけ。これは駄目な例です。こんなにぐしゃっと床に布のたまりができてしまうと、しっかり着た後も地面すれすれ過ぎて大変です。

 

↑これが正しい合わせ方。着物を羽織ったら、着物の両襟を前方に軽く引っ張り後ろ側の布が下にストンと落ちつつお尻にぴったり張り付くように合わせます。ちゃんと背筋を伸ばすこともお忘れなく。

この状態では、裾はくるぶしを覆い隠しており、理想より1~2㎝長い状態になっています。

 

↑着付けが終わった状態。裾の前側は羽織った時と同じ高さですが、後ろ側の裾は上がっています。裾が床と平行になっているので、後ろの裾が前と同じ高さまで持ち上がったということですね。

これはあくまで、私の羽織った時の着物の引っ張り具合や体型、身丈の好みに左右された例です。私の場合、羽織って合わせるだけで着付け後に裾の長さがどうなるのか分かります。しかし、皆さんが全く同じように選ぶと微妙に違う残念なことになってしまうので注意が必要です。

しかし、『着付け後の裾の長さ=羽織っただけの裾の長さ―数㎝』だということが分かりました。実際に着物を合わせてみれば、マイサイズに近い身丈の着物を選ぶことが出来ます

身丈が長すぎる場合

もっと早く教えてよ!もう長すぎる着物買っちゃったよ!という方へ。

  1. 和裁士さんに短く直してもらう
  2. 厚底orヒールブーツを履いて地面との距離を稼ぐ
  3. 胸元に布のたわみを作って裾を上げる
  4. 女性の着付け同様おはしょりを作る
  5. 自分で裾上げをする

 

が対策として挙げられますが、私は1,2しかおすすめしません。こんなニッチな記事を読んでいらっしゃる皆さんが、小手先のへんてこな着付けや日曜大工で満足できるとは思えないからです。

和裁士さんはSNSに自身の和裁所について発信していることが多いので、検索してDMで相談してみましょう。新しく古着を買った方が安上がりかもしれませんが、マイサイズに勝るものなしです。ほぼ全て古着をマイサイズに仕立て直した変態が言うのだから間違いないです。

靴で身長を盛るならヒールブーツがおすすめです。

 

洋服でも兼用したいなら、厚底ブーツもいいと思います。



ようは、身長を伸ばしちゃえば身丈が相対的に短くなる、という力業です。でも馬鹿にできないんですよ。長い裾が足首を覆ってひらひらしてるのって格好いいんです。最近フレアパンツが流行ってきているので、長い着物×ヒールブーツとかの波が来て欲しいものです。

身丈が短すぎる場合

こちらに関しては、ご本人が気にし過ぎな場合が多いのでまずそこからお話しましょう。

先ほど私は、足が露出してはいけないような書き方をしてしまいましたが、別に問題ありません。夏ならば可、ではなく、肌が見えても大丈夫です。SNSに着姿を投稿されている多くの着物男子諸兄も、着物の裾と足袋の隙間から肌が見えていることが多いです。

きっと、動きやすさ、過ごしやすさを追求して短めの身丈に行きついた結果でしょう。洋服だって、冬でもアンクルパンツにくるぶし丈ソックスで足首丸出しの人もいれば、腰パンで派手な柄パンツが見えている人もいます。大丈夫です。


しかし、身丈が短いことがどうしても気になる、許容できない、という方にはアドバイスを。

  1. 和裁士さんに縫い込まれている生地を出してもらうor別生地を継いでもらう
  2. ハイカットシューズを履いて裾と靴を繋げる
  3. 夏なら素足にして、足首だけ肌が見えているという現象そのものを消す

 

着物は腰のあたりに生地を折りたたんで縫い込んでいることがあります。その場合、その生地分だけ身丈を伸ばすことができるかも。また、古着屋などで生地だけ別で買ってきて裾に繋げてもらうこともできます。

和裁士さんの提案で、斜めに別布を継いでもらった着物。

 

裾から足首が出ていることで着物の短さが強調されるので、靴や靴下で肌を隠すのも有効です。サイドゴアブーツがイチオシですが、コンバースも可愛くていいですよね。



また、足首だけ肌が見えている状況が悪目立ちする原因でもあるので、他にも肌を露出してあげることで印象を薄めるのも手です。具体的に言えば、裸足に下駄とかですね。

結び

着物は試着が命です。しかし、多少サイズが違っても、プロの助けを借りたり工夫を凝らせば楽しめるのがファッションのいいところ。

そして、結局は気の持ちよう着崩れだって、見方を変えればこなれ感です。気にし過ぎることなく、一緒に着物を楽しんでいきましょうね。

 

終わり。

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