長襦袢の利点

暮らしと着物

着物を着るようになり、長襦袢というアイテムを知りました。そしてこう思いました。これって必要なの?と。

結論から言えば、マイサイズの長襦袢があると最短で着姿がキマります。つまり必要です。

どうせ着物の下に隠れる下着、襦袢Tシャツで十分。着物より小さい浴衣で代用すればいい。こう思う気持ちもよく分かります。私もそう思っていました。

そんな皆さんに、着物生活歴3年の私からマイサイズの長襦袢のメリットをお伝えしていきます。着姿にいまひとつ満足できない人、着物の数を増やしていきたい人、これから着物を始める方のお役に立つかと思います。ぜひお付き合いください。

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長襦袢のメリット

すっきりした着姿

私は初心者の頃、半襦袢を使っていました。腰から下の生地を省いた、文字通り半分だけの襦袢。初めて買った着物(古着ですが)とセットで、スタッフさんから勧められるままに着ていました。最初は不満もありませんでした。生地が少ないので収納もかさばらず、洗濯しても乾きやすい。

しかし、ある時気付きました。着物のシルエットに妙な段差ができることを。下に着ているのは半襦袢、つまり腰から下は布一枚分シルエットにへこみができるのです。さらに腰紐で締めているため、半襦袢の裾は浮きあがり、帯の下のシルエットに影響が出る。

ほんの些細なことですが、「下着のシルエットが出ている」状況はあまり快適とは言えませんでした。

また、半襦袢は着崩れを直しにくい。腰紐で締めているのは半襦袢の端。そのちょっとだけしかない余り布を引っ張って襟合わせを直すにはコツがいります。

 

私は半襦袢の悪口を言いたいのではありません。ただ、長襦袢なら、有り余る布のどこかを引っ張るだけで着崩れは直せます。まるで一枚岩のように、着物を下から支えるてのでシルエットに違和感も出ない。自分の求める着姿をキープしやすいのが長襦袢の利点といえます。

 



はだけても大丈夫

着物は布を体に巻き付けるだけの大変おおらかな衣服。当然、中の人間が動けば足元ははだけます。

はだけないコツとして、歩幅を狭くする、段差を上がる時は太腿あたりの重なっているすべての生地を掴み裾が広がらないようにする、などあります。しかし、そもそもはだけるのは普通です。着物の下が見えると恥ずかしい状況なのが問題なのです。

着物の下から安っぽい艶の化繊のステテコ、そこからにゅっと露出したすね毛の濃い足。これでは、確かに着物がはだけるのは恥ずかしいですね。

長襦袢を着ていれば、たとえ着物の裾がはだけても、長襦袢の裾が見えるだけ。その中の秘部は守られます。長襦袢をお好みの色柄にしておけば、ちらりと見える裾もお洒落として楽しめます。

 

裾がはだけることを気にしなくていいだけで、歩き方や所作も以前より自信にあふれ、買い物や友人との会話、景色も一層楽しめるようになるでしょう

 


 

脱いでもOK

服は着ていて気分が上がるものがいい。それは人目のある街中だけではなくて、家の中の自分だけのためにも。私はミニマリストですが、そう思って服を選んでいます。

そんな私からすると、着物を脱いだ姿が半襦袢+ステテコでは、気分が上がりません。戦いに傷ついたスーパーヒーローがコスチュームを脱いでぐったりしているのは格好いいですが、お出掛けから帰ってちんちくりんな恰好でだらだらしている自分は、あまり好きではありません。

なら家でも着物を脱がなければいいじゃないか、となるのですが、私はお出掛け用のお洒落着物はすぐに干して汗を逃がし、間違っても家事で油シミがつくなんてことは避けたい。なんとしても守り抜く。そう思っているので、脱いだ後の自分の姿もある程度見苦しくないようにしておきたいのです。

その点、長襦袢なら形は着物と一緒、そのまま宅配便の対応もできます。一日の終わりに洗濯される運命なので家事もへっちゃら。友人の家に泊まりに行った際も、家ではずっと長襦袢姿でした。さすがにパンツ一丁では親友でも怒ったでしょうね。

 

長襦袢は下着ですが、下着単体としても見映えよく着こなすことが出来る便利なアイテムです。長襦袢をコートして着る方もいるくらいですから。

 


 

長襦袢を試したことのない方は、一度袖を通すことをおすすめします。暑い夏ならいざしらず、涼しい時期に着ない理由はありません。

 

 

行き着く先はマイサイズ

長襦袢のメリットをお伝えしてきましたが、なんでもいいわけではありません。私は数年間、古着の浴衣や着物を長襦袢代わりに着てきましたが、今では全てマイサイズに仕立て直してしまいました。ではなぜマイサイズがいいのでしょうか。解説していきましょう。

着姿が決まる

古着物を長襦袢にするということは、着姿の土台が毎回変動するということです。ある時は身幅が足りずに衿合わせが深くなりすぎたり、大きすぎると着物の下でごわついたり。コーデを考えていた時には最高だと思っていたのに、着てみると長襦袢のせいで全体の印象が変わってしまう。

ミニマリストはルーチンを大事にする人が多いです。毎回同じクオリティを維持し、無駄な労力や時間を削減する。凝った料理で失敗することはないし、不慣れなコーデで外出先で恥をかくこともない。

それなら毎回、同じ古着物を長襦袢として着ればいい。それで解決じゃないか!

いえ、ことはそんなに簡単ではありません。時には襟を大きく開けたり狭くしたり。そんなことをしようと思えば、「ちょうどいいサイズ感」の長襦袢でなければ広範囲の着姿をカバーできません。

 

自分の体に合った長襦袢を着るということは、どんな着姿にもなれるということ。そして、常に一定の土台の上で鍛錬することもできるということ。自然と着姿も洗練されていきます



着物との組み合わせに困らない

始めの頃は、着物も古着で集めることになるでしょう。そうすると、長襦袢の裄丈が長すぎてこの着物と合わせられない、あっちの着物は身丈が短いから長襦袢が出てしまう。古着屋で一目惚れして着物を買ったのに、手持ちの長襦袢は全部合わせられない。そんな悲しいことになることも・・・。実体験です。

たくさん着物と長襦袢を持っていても、組み合わせられるコーデは着物数×長襦袢数とはならないのです。せっかくお洒落な半襟をつけた長襦袢なのに、明日着たい着物とは組み合わせられない。自然とコーデの幅も狭まっていきます。

着物は色の組み合わせや柄で季節や自然、自分の心を表現することができる衣服。その表現に制限がかかるのは、着物の機能を100%使うことが出来ない、もったいない状況と言えます。

というか、あれとこれは合わせられない、なんて悩むの、時間の無駄ですよね?楽しくありませんし。

マイサイズで長襦袢の寸法を固定することで、合わない着物というものがなくなります。着物を買う時の指標に、好みの色などのほかに「長襦袢より大きいこと」が加わるからです。

 

着物を着る機会が増える程、コーデを考える時間は増えていきます。ぜひ楽しい時間を増やし、あれこれ悩む時間を減らしてきましょう。



着物の汚れを防ぐ

これはおまけくらいに考えてください。

スーツにおけるシャツと一緒で、長襦袢は皮脂汚れから着物を守る機能もあると言われています。あまりに裄丈や身丈が短い長襦袢では、腕と足の皮脂が着物についてしまうので、マイサイズだといいよね、という話です。

しかし、現代の着こなしでは長襦袢が着物の袖から出てはいけないという風潮があります。そうなると、手首のあたりは皮脂で汚れしてしまいますよね?

私の場合、数年間着ている正絹の着物の袖口には今のところ黄ばみや臭いなどは出ていません。クリーニングはしていませんが、定期的に着ることで風を通しているからでしょうか。シルクは自浄作用があるともいいますし、過剰に皮脂汚れを気にして着られないでは本末転倒。私の話は頭の片隅に置いていただき、どんどん着てあげてくださいまし。

 

マイサイズを頼むには

では実際にマイサイズの長襦袢を入手するにはどうすればいいのでしょうか?以下が手段として挙げられます。

  1. 着物屋で注文する。
  2. 自分で縫う。
  3. 和裁士に依頼する。

私は3の、和裁士さんに直接依頼することをおすすめします。1.着物屋で注文、はぼったくられたり、他の商品をすすめられたり、和裁士さんへの支払いに手間賃が上乗せされることもあります。2.自分で縫うのは楽しそうですが、手間がかかりすぎます。

私は古着屋で見つけた着物や反物を500~2000円くらいで購入し、和裁士さんのところに持っていき、2万円弱くらいでマイサイズに仕立ててもらっています。ただマイサイズにするだけではなく、私の細い体に合わせて見映えよくなるようカッティングを変えてくれたり着つけを楽にするためのギミックを提案してくれたりもします。

ただマイサイズの長襦袢を入手するのではなく、プロの思考に触れられるのもおすすめする理由です

和裁士さんはSNSで発信していることが多いので、ぜひ近所の和裁士さんを探してDMしてみてください。全国にわたって紹介してくれている方もいらっしゃるので、よければご参考にどうぞ。 直接依頼できる仕立て屋さんまとめ

 

結び

私の美意識、こだわりをつらつらと書き散らかしてしまいました。お付き合いいただきありがとうございます。

マイサイズの長襦袢を持つということは、ファッションだけではなく、ミニマリズムの点でも魅力があります。ぜひ、ワンステップ上の着物の楽しみ方を取り入れてみてはいかがでしょうか。

皆さんの着物ライフが一層素敵なものになりますように。

 

終わり。

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