本日は、着物を持ちすぎて常に管理に頭を悩ませていた私から、着物好きさんにおすすめしたい着物の断捨離についてお話します。
「古着を安くたくさんゲットしたけど、いまいちピンとくるコーデにならない」「収納棚いっぱいに入った着物を出すのも一苦労で、組み合わせをあれこれ試すと手間がかかる」「憧れのあの人みたいになりたい。やっぱり同じ着物を買おうかな」
そんな方に、素敵に着物を着こなす手段のひとつとしての断捨離、そのメリットについて、私の経験をもとにお伝えしていきます。皆さんが着物を着る際に感じている小さな不満や煩わしさ。もしかしたら原因はご自身や着物のせいではなく、着物の数かもしれません。
結論をお伝えすると、ただ捨てることをおすすめするつもりはなく、お気に入りだけを毎日着るのは楽しいですよ、というお話です。具体的な断捨離の方法についても紹介しています。ぜひお付き合いください。
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断捨離すべき現状
私は古着を買う民だったので、古着屋で一着500円の着物を探し歩いたり、シンエイのサイトで状態がよく安い古着物を見つけては購入していました。「この品質がこんなに安い。古着は一期一会。買わないと損!」そんな買い物に心当たりのある方はいませんか?私はそうでした。その着物が欲しいからではなく、二度と手に入らないから買っとくという発想です。まだセール品をお店の口車に乗って買うほうがましに思えます。自分で勝手に乗ってるんですもんね。お金を払った方が損に決まっています。
そうして溜まっていった着物達。シンプルなスタイルが好きな私の場合、ダークトーンの無地調のものばかりです。それは別にいいのですが、問題はそれらを合わせるときに起きるのです。
「この着物とあの羽織を合わせてみよう」となるとします。そうすると、裄丈がばらばらなので羽織の袖から着物が出てしまう。色味も見比べてから購入したものではないので、自宅の鏡の前で合わせて初めて色が喧嘩することが分かったり。羽織ってみてから太って見える、派手すぎるなんてことに気付くこともあります。出掛けるまでに着替え直すこともしょっちゅうでした。何という時間の無駄。衝動買いは肯定派なのですが、適当買いによる失敗はよくありません。それがどんどん積み上がっていきました。
試行錯誤の失敗は成功への道の途中。何度繰り返してもいいと思います。だけれども、推敲していない着物をどれだけ頭をひねってこねくり回しても理想のコーデ、着姿は出来上がらず、その失敗はただの徒労となります。そのうち着物を着ること自体が面倒になり、時間がないからと洋服で出掛けることもありました。でもそれって、着物が悪いのでしょうか?そんなはずはありません。そのことに気付いてから、徐々に新しい着物は十分に検討してからお迎えするようになり、手持ちの着物も厳選を幾度も重ね数を減らしていくことになります。
いざ断捨離 敵は己の心
着物を減らすとは言っても、始めは簡単にはいきません。どれも大切にしていたので傷んでいないし、これとこれなら組み合わせられるからまだ着れる!みたいな延命措置を繰り返してしまう。部屋着にすれば手放さなくていいし今のが駄目になったとき用のストックになる、と考えては大量の部屋着候補が挙がりそれを却下したり。ひたすら悩む日々。時間だけが過ぎ収納棚の中身は変わらないまま。
なぜ着物の断捨離は洋服以上に罪悪感を感じるのでしょうか?我々の遺伝子が「民族衣装を捨てるなど鬼の所業!」と叫ぶのでしょうか?いえ、きっと自分の失敗を内省したくないのでしょう。後始末をすることに心が痛むのです。しかし、このままでは同じ失敗を積み上げいずれ収納スペースは宇宙のごとき速度で膨張し、終いにははち切れていまします。それに、不満を感じたまま着られる着物も可哀想です。
目的はなりたい自分になること。そのために断捨離という目標を掲げ、自分を幸せにしない着物とはお別れするのです。私は、サイズ・シルエット・色柄の三要素で選別し、二つ以上当てはまるものは全て処分しました。私は血涙しました。
選択肢に好きなものしかないという幸せ
手元に一軍だけを残す。それがいかに素敵な体験か、ぜひ皆さんにも味わっていただきたいです。とはいっても、最初は二軍を処分できても1軍候補に該当する子を残していたので、本当にお気に入りだけになったのはつい最近です。
その季節に着る着物の選択肢は四着ずつ程。ミニマリストとしては多い数ですが、洗える着物と洗えないお洒落着、上品にしたい時とアバンギャルドになりたい時、などと使い分けたいのです。不要なものは削りますが、ファッションを楽しむ心は捨てていません。
よく人間は三つ程度の選択肢が限界でそれ以上は負担になるのだと言われています。その説がミニマリストに与える影響が大きいことも存じています。しかし、それは選択が手間な場合の話。好きな分野であればその労力は皆無。何より、どれを選んでも好きな着こなしになれるのですからなおさら楽しさしかありません。「私、失敗しないので」となるわけです。そうなると自分の着こなしが好きになってくるので、雑誌や映画で素敵な着物を見てもすぐに欲しいとはならなくなります。自信がない頃は、素敵なものを身につければ私自身が素敵になれると考えてしまいがちですよね・・・。
これまで着る回数が少なかったお気に入り達を着る機会が増えました。収納に余白が生まれたことで取り出しやすく、畳んだ着物に皺がつかないのでアイロンがけする手間がなくなりました。どの組み合わせも相性がいいので、鏡の前で悩む時間もなければ出先で自分の恰好が変かもしれないと不安になることもありません。ビバ!お気に入りに囲まれた生活。まるで昔の大奥の世界(多分違う)。
断舎離する着物の行方
断捨離をおすすめしてきましたが、きっとこう思う方もいらっしゃるでしょう。「着物をどうやって手放せばいいの?」と。
選択肢は四つ。リサイクル、売る、譲る、リメイクする。私はリサイクル、または売ることをおすすめします。
捨てるのは罪悪感がありますが、リサイクルに出すなら抵抗は少ないでしょう。H&Mでは袋に入れさえすれば一度に二袋までリサイクルに出すことができ、クーポンまで貰えます。他にも地域のリサイクル事業に出すのもいいでしょう。
買ったものをただで手放すことに抵抗を感じる方には、コメ兵などの着物も取り扱う買取店へ持ち込むのもおすすめです。しかし、値段は期待してはいけません。重い荷物を持って行っても、交通費と休憩の喫茶代にもならないことがあります。なので私は、潔くリサイクルに出すか、郵送で買取をお願いするサービスがおすすめです。
譲る、リメイクするというのは、かなり労力のかかる手段です。愛着があったり、例えば義理の母からのもらい物だから・・・などが該当しそう。たくさんの着物を断捨離するならば、一つ一つに時間と手間のかかるこれらの手段は、断捨離を挫折する原因になりうるためご注意を。
結び
私はゆるミニマリストです。出勤には洋服を使っているので、本来なら着物は「なくてもいいもの」なのです。それを持っているのに人様に断捨離をすすめるなどちゃんちゃらおかしいと思われるかと存じます。しかし、私がおすすめしたいのは捨てることではなく、本当に好きなものを着るということです。
自分に似合うものをしっかり吟味し、毎日大好きなものを身に着ける暮らし。私が共有したかったことは、断捨離することではなくその先の暮らしです。皆さんの着物生活が一層素敵になりますように。
終わり