「着物の袖の長さってどのくらいが適正なの?」
着物を始める際、身丈と同じくらい悩みました。
周りには教えてくれる人もいないし、ネットにも欲しい情報は転がっていません。参考になる写真を探そうと思っても商品のモデル写真ばかりで、袖のところがよく見えない!と歯ぎしりする日々でした。
そこで今回は、着物生活5年目の経験をもとに、適切な裄丈の選び方について、皆さんに共有していきます。
文字だけではなく、比較写真などを載せながら、つらつら書いていこうと思います。
今後の皆さんの着物選び、着物生活の参考になるはずです。きっと。ぜひお付き合いください。
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どこからが長く、どこからが短いのか
まず先にお伝えしておくと、タイトルの通り私は長い裄丈が好みです。しかし、今回の題材は完全に趣味嗜好の領域なので、「おれはショートカットな女の子が好き」くらいにとらえていただければ結構です。
寸法に正解はなく、ご自身が満足して着物をお召しになることができればいいだけのこと。私の考えが、皆さんの情報収集に役立てばと願います。
前置きはこのくらいにして、そもそも長い、短いを判断するにはどうすればいいのでしょう。
私の感覚では、手首に袖がかかるかどうかの裄丈が標準(昔と比べると長めらしく、古着の裄丈は短いものが多い)、袖から前腕ががこぶし一つ分以上出ていると短すぎ、袖が手首を越え手の甲にかかっていると長すぎると感じます。
↑これは分かりづらいですが、私の考える標準より数㎝長く、手の甲ではなく手の平の方に袖がかかっています。
↑こちらは短い場合の写真。手首がしっかり出ていますね。
※裄丈は寸法だけで確認せず、試着して、普段と同じ姿勢をとって鏡で確認しましょう。着物の素材によって落ち感は違い、腕の出る加減も変わります。試着の時だけ胸を張っても本当の着姿は確認できず、家に帰ってから思ってたより裄丈が短い、なんてことも。あるあるですよね。
長い裄丈はしゅっとして見える
まずはこちらをご覧ください。
左がマイサイズの標準的な裄丈の着物。袖の長さは手首にかかるかどうか、な具合です。
右は先ほどご覧いただいた短い裄丈の着物。手首がしっかり出ています。
袖が長い方が、しゅっとして見えますよね。
理由は様々です。洋服文化との差から生じる違和感、肌の露出加減、身丈など他の寸法とのつりあいがとれているか等等etc…。
しかし、ここでは深く考えず、率直に好きな方を選べばいいと思います。繰り返しお伝えしますが、裄丈の長さは好みで大丈夫です。スーツのように、「袖は手首のぐりぐりにかかるくらい。シャツはスーツの袖から1~1.5㎝出るように」なんてルールはないのですから。
私が短い裄丈を選ばない理由は、しゅっとして見えないから。だけではありません。
左は初夏の写真で、短い袖が活動的で素敵ですが、なんだか夏祭りに行く大学生のようでもあります。
右の冬の写真では、裄丈が短いことで腕が長く見えるという利点がありますが、腕の露出が寒々しい。手袋と袖の間に『不要な絶対領域』が出現してしまっています。
このように、短い裄丈はその魅力を相殺して余りあるデメリットがあるように、私は感じてしまいます。
というわけで、肌を露出しない、上品で落ち着いた雰囲気のある長い裄丈が、私は好きです。
短い裄丈は実用的
ならば短い裄丈には価値はないのか?手持ちの寸足らずもそうなのか?お気に入りのこの着物も…無意味だったのか?
いや違う!短い裄丈に価値を与えるのは我々だ!!
もし皆さんが、着物はお出掛けの時にお洒落として着て行くだけというのであれば、短い裄丈の着物は不要かもしれません。
しかし、短い裄丈は、着物生活には必需品といってもいいでしょう。
短い裄丈の最大の利点は、生活がしやすいという一点に尽きるからです。
顔を洗う、トレイに行く、料理、掃除、食事。暮らしの中では、こんなひとつひとつの動作全てにおいて、着物のひらひらした袖は邪魔でしかありません。
裄丈が短ければ、そんな袖にわずらわされることはなくなります。
脇で袖を抑えたり(手を洗うの大変)、帯に袖を差し込んだり(手を伸ばすとすぐ抜けて意味がない)、たすき掛けしたり(家事への気合が入るので好き)、袖がすぼまった割烹着を羽織らなくてもいい。
(そもそも着物を着なければいい、と言うのはご法度です)
私はあまり実感していないのですが、着物生活の大敵(ドアノブ)に袖口をひっかけることも少ないそうです。
着物を着て生活をしたいと考えている方には、裄丈の短い着物の方が便利かと思われます。
結び
結論として、裄丈の長短は皆さんのライフスタイル、用途によって使い分けるのがおすすめです。
お出掛けする時は裄丈長めのお洒落着、家にいる時は短めの部屋着、といった感じですね。
皆さんの着物生活が、一層楽しいものになりますように。
おわり。